子ども達へ
毎年春になると、我が家にいちごの箱が届いていたのを覚えていますか。
家族みんないちごが好きで、特にあなた達は目を輝かせて食べていました。
実はあのいちご、私が買ったものではありません。
税金で届いていたのです。
今日は「ふるさと納税」の話をします。
前回の手紙で出てきた住民税と、深くつながっている制度です。
ふるさと納税は、税金の一部を「前払い」する制度
ふるさと納税は、名前は「納税」ですが、実際は自治体への寄附です。
仕組みを一言でいうと、こうなります。
本来、自分の住む町に払うはずの住民税の一部を、好きな自治体に前払いする。
すると、お礼として特産品が届く。
私の場合、昨年は2つの自治体に合計71,500円を寄附しました。
いちごの産地に37,000円、お米の産地に34,500円。
そして翌年、この寄附額から2,000円を引いた69,500円が、住民税からそっくり差し引かれました。
つまり、私の実際の負担は2,000円だけ。
2,000円で、あのいちごと毎日のお米が届いた計算になります。
お礼の品には制度上のルールがあって、寄附額の3割以下の品と決められています。
71,500円なら、最大2万円分ほどの特産品。
どうせ同じ税金を払うなら、返礼品という形でいちごやお米がもらえるのだから、使わない理由がない制度だと私は考えています。
しかも、確定申告の必要がない給与所得者で、寄附先が年間5自治体以内なら、「ワンストップ特例」という仕組みが使えます。
寄附した自治体ごとに申請書を送れば、確定申告をしなくても控除が受けられます。
実際に私は、ふるさと納税を確定申告でしたことはありません。これまで全てワンストップ特例という制度で行いました。
3年くらい前までは、自治体に申請書を郵送していましたが、ここ2年くらいは、自治体マイページなどの専用のアプリなどで申請が完結するため、全てスマホで終わりました。
感覚としては、ネットショッピングとほとんど同じです。
ただし、上限がある
「じゃあ、いくらでも寄附すればいい」とはなりません。
ここが一番大事なところです。
差し引いてもらえる金額には、その人の収入や家族構成で決まる上限があります。
上限を超えて寄附した分は、税金から引かれない、ただの寄付になります。
だから私は毎年、2つのことをしています。
一つは、寄附する前に、シミュレーションで自分の上限額を確かめること。
もう一つは、翌年届く住民税の通知書の隅にある「摘要」という欄で、答え合わせをすることです。
今年の通知書には「寄附金控除69,502円」とありました。
寄附額71,500円から2,000円を引いた金額と、ぴったり合っています。
ちゃんと上限内に収まっていた、という証拠です。
制度の名前を知っていることと、制度を使いこなせることの間には、少し距離があります。
その距離を埋めるのが、この「確かめる」というひと手間です。
いちごの裏側にあるもの
あなた達が食べていたいちごの裏側には、こういう仕組みが動いていました。
種明かしをして得意になりたいわけではありません。
私が伝えたいのは、世の中の仕組みは、知っている人が静かに使っているということです。
ふるさと納税を知らなくても、罰はありません。
誰も教えてくれません。
ただ、知らないまま同じ税金を払い、いちごは届かない。
それだけです。
あなた達が大人になる頃、この制度がまだあるかは分かりません。
でも、「仕組みを知り、確かめて、使う」という型は、どんな制度が相手でも変わりません。
最後に、一つ質問です。
この少しの手間を惜しんで税金だけを納めるか、それとも、美味しいいちごを家族で食べるか。
あなたなら、どちらを選択しますか?
来年の春も、いちごを一緒に食べましょう。
父より
― 未来への手紙 第12通 ―
次の手紙:第13通 未来の自分に、先に払っておく
――― この記事について ―――
制度の確認日:2026年7月29日
参考にした公式情報:総務省「ふるさと納税の流れ」/総務省「税金の控除について」
本文中の金額:令和8年度の我が家の実際の記録です。
制度や上限額の計算は変わることがあります。ワンストップ特例のオンライン申請に対応しているかは自治体によって異なります。利用するときは最新の公式情報と、寄附先自治体の案内をご確認ください。

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