子ども達へ
前回の手紙で、QYLDという商品を売って、手元に約240万円分のドルが残った話をしました。
今日はその続き。このお金で「何もしなかった」話です。
買った話より、買わなかった話。
こちらの方が、あなた達に残しておく価値があると思っています。
25倍になった株と、ビッグニュース
私は少し前から、ロケット・ラボというアメリカの宇宙企業の株(ティッカー:RKLB)を持っていました。
宇宙産業はかつてのインターネットやスマホのように飛躍すると考えて、小さく種をまいていたのです。
その株が、幸運なことに買った値段の25倍以上になりました。
私の投資人生で一番の成功です。
ただ正直に言うと、狙って当てたというより、運が良かった。
そんなとき、ビッグニュースが出ました。
ロケット・ラボが「NASDAQ100」という、アメリカを代表する100社が選ばれる株価指数に採用されることが決まったのです。
「指数に入れば、世界中のファンドが自動的にこの株を買う。株価は上がるはずだ。今のうちに買い増そう」
私は本気でそう考えました。240万円ぶん、買い増すつもりでした。
立ち止まって調べたこと
でも、買う前に一晩、立ち止まって調べてみました。
ニュースが出たその日のうちに、株価はすでに14%上がっていました。
「指数に採用される」というニュースは、発表の瞬間にみんなが知ります。
だから、値上がりも発表の瞬間にほぼ終わってしまうのです。
後から買う人は「いいニュース」ではなく、「いいニュースで上がった後の高い値段」を買うことになります。
投資家のウォーレン・バフェットに、こんな言葉があります。
「株式市場は、せっかちな人から忍耐強い人へお金を移すための装置である」
せっかちに飛びついた人のお金は、忍耐強く待っていた人のところへ移っていくのです。
うまくいった株ほど、買いたくなる
もう1つ、数字を見て気づいたことがあります。
私の投資全体の中で、ロケット・ラボ1社が占める割合は、すでに1割以上にふくらんでいました。
ここに240万円を足せば、1つの会社が全体の2割以上になります。
その会社に何かあれば、資産全体の2割が影響を受けるということです。
うまくいっている株ほど、もっと買いたくなる。
これは人間の自然な気持ちです。
でも、うまくいった結果としてすでに大きく育っているのだから、これ以上育てる必要はない。
むしろ「育ちすぎていないか」を点検するタイミングだと思いました。
結局、どうしたか
ニュースで上がった株を追いかけるのはやめました。
新たに別の株を買うこともしませんでした。
240万円は、現金のまま多めに持っておくことにしました。
今は日本もアメリカも、相場が過去最高の水準にあり、割高な印象があるからです。
暴落や大きな下落は、必ずいつか来ます。それが明日なのか5年後なのかは、誰にも分かりません。
でも、そのときに現金があれば、価値のあるものを安く買うことができます。
この選択が正しいかは、正直分かりません。
それでも、自分で調べて、自分で選択したものなので、結果はどうあれ納得できると思っています。
子ども達へ伝えたいこと
投資で一番難しいのは、計算でも知識でもなく、「買いたい!」という気持ちを一晩寝かせることなのかもしれません。
あなた達がこの手紙を読む頃には、私の判断の答えは出ているはずです。
答え合わせ、一緒にしましょう。
あなたなら、この240万円をどうしますか?
※この手紙は私の売買の記録であり、特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。
投資の判断は、自分で調べて、自分で決めてください。
父より
― 未来への手紙 第7通 ―
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